映画『くちづけ』は、2013年に公開された竹中直人さん主演で、堤幸彦監督の大ヒット作品です。
映画が大好きで、週末には必ずと言っていいほど映画を観ている私が、独自の視点で作品を紹介させて頂きます!
『くちづけ』を観るか迷っている人は是非参考にしていただけると嬉しいです。
この記事でわかること
- 作品情報
- みどころ
- あらすじ
- 感想
- 『君の腎臓を食べたい』がおすすめな人
【くちづけ】作品情報
- 公開年:2013年
- 監督:堤幸彦
- 脚本:宅間孝行
主な出演者
- 阿波野マコ(貫地谷しほりさん)
- 愛情いっぽん/阿波野幸助(竹中直人さん)
- うーやん(宅間孝行さん)
【くちづけ】みどころ
元々は舞台劇だった映画「くちづけ」は、知的障害者たちが集うグループホーム「ひまわり荘」を通して様々な問題を投げかけてくれる深みのある作品。
みどころは、偏見や差別についてはもちろん、障害のある子ども自身の幸せや、障害のある子どもを持つ親の苦悩が、ユーモアを交えながら繊細に描かれているところです。
「舞台史上一番泣ける」と話題になった舞台劇の映画化だけに、斜に構える観かたをしたくなるかもしれませんが、「くちづけ」を見終わった時、きっとあなたの頬を一筋の涙が真っ直ぐにつたうはずです。
うーやんとして登場している宅間孝行さんが「お客さんが喜んでくれるもの」から、一旦立ち止まり「自分の琴線(きんせん)に触れるもの」作ろうと生まれたのが舞台劇の「くちづけ」だったそうです。
映画「くちづけ」にもそんな宅間孝行さんの実直な想いが変わることなく込められていて、舞台劇派という人にも最後まで楽しんでもらえると思います!
【くちづけ】あらすじ
12月25日、閉鎖されたはずのひまわり荘に、懐かしい顔ぶれが集まっていました。小児科医の国村院長が家族たちと細々と運営していたひまわり荘。知的障害者の自立支援を目的としたグループホームでしたが、様々な問題で経営難に陥り閉鎖を余儀なくされました。
みんなが集まったのはクリスマスだからという理由以外に、うーやん(宅間孝行さん)の恋人である阿波野マコ(貫地谷しほりさん)の誕生日を祝うためでした。
うーやんにはそれに加えてもう一つお祝いしたことがありました。実はこの日にうーやんとマコは結婚すると決めていたのです。
以前、ひまわり荘で一緒に暮らしていた島ちん(谷川功頼さん)や仙波(嶋田久作さん)とパーティーの準備を進めるうーやんの元に、うーやんの妹・智子(田畑智子さん)がやってきます。
そしてマコとは結婚できないとうーやんに伝えます。どうして?と尋ねるうーやんに丁寧に説明しようとする智子。
そこへ1枚の新聞記事が風にあおられ飛んできます。その記事にはマコの死が報じられていました。うーやんと智子の後ろで流れるテレビからも、悲しいかな同じニュースが流れるのでした。
うーやんが待っていたマコは、昨日つまりクリスマスイブの日にすでに亡くなっていたのです…。物語はここから4月へとさかのぼり、マコが死を迎えるその日までが描かれていくのでした。
【くちづけ】感想
物語の感想
10年以上前に新聞の片隅にあった小さな事件記事が「くちづけ」のモチーフになっていると聞き、こんなに悲しい出来事が実際にあったのかと胸が締めつけられました。それと同時に新聞記事にさえしてもらえない、仕方のない出来事がたくさん生まれているのかもしれない…。そんな切ない思いが溢れました。
早くに奥さんに先立たれて、障害のある娘のマコを大切に大切に育ててきた父親のいっぽんが、自らの手で殺めるという選択肢しかなかったことに憤りを覚えました。もちろんその憤りはいっぽんに向けてではなく、社会に対するものです。
もしかすると障害という言葉に違和感がある時点で、私自身にも偏見があったのかもしれません。障碍者だから優しく接するのではなく、全ての人に優しく接することが出来る世の中にしたいと、この作品を観て気づくことができました。
キャストの感想
映画初主演とは思えないくらい堂々たる演技を終始見せてくれた貫地谷しほりさんには心を奪われっぱなしでした。知的障害者のマコという難役を見事に演じ切っていて、感動という二文字では全然足りないくらい気持ちが揺さぶられました。
そんな娘のマコの幸せを心から願い育てる父親のいっぽんを演じる竹中直人さんの好演も光っていました!ちょっぴり頼りないところもあるけど、全力で娘を愛していることがひしひしと伝わってくる演技でした。竹中直人さんらしいユーモアが溢れる、また、センスを感じられるシーンがたくさんあったのも楽しかったです♪
なぜ男の人が苦手なはずのマコがうーやんにはすぐに心を許せたのか。その理由をセリフ的な説明ではなく、うーやんという人柄を通じて感じさせる宅間孝行さんは本当に凄い人だと思いました!
【くちづけ】こんな人におすすめ
今回紹介させていただいた映画「くちづけ」は、出来るだけたくさんの人に観てもらいたいと思う作品です。
その中でも、特におすすめしたい人は、今の自分の価値観の殻を破りたい人です!
子を持つ親世代に観てもらいたいし、子どもたちにも観てもらいたい。障がい者だとか健常者とか関係なく観てもらいたい。そんなことを色々と考えているうちに、1人でも多くの人に観てもらいと思いました。
いっぽんの決断は間違っていたと言う人もいれば、共感する人もいると思います。私がたくさんの人に観てもらいたいと思うのは、多数決を取って正解を探すためではありません。たくさんの人に観てもらえたら、きっと様々な感じ方が生まれて、今よりもたくさんの優しさが生まれると思っています。
そして、作品に触れることにより、今までは気づけなかった誰かの「助けて」に気づける世の中に変わっていける気がします。そんな希望の光のような力がある映画だからこそ、やっぱり「くちづけ」は今までの自分の価値観の殻を破りたい人にぜひ観て欲しいと思います。
価値観を変えてみたいと思っている人は、ぜひ映画『くちづけ』を観てみてくださいね♪